今日はいよいよ、入学式だ。
新しいスーツに着替え、薄化粧をして電車に乗って大学に向かった。
もちろん隣には誠人がいる。
「ねぇ、誠人って今年で何歳になるんだっけ?」
「えっと、若に拾ってもらったのが18のときだから…今年で24なります」
「そっか…あのときから6年も経ったんだ」
「ええ」
私が12歳のとき、いきなりパパが誠人を家に連れてきた日のことを今でも鮮明に覚えている。
「あと、お嬢とか言わないでね」
「―えっ!?どうしてですか??」
驚きながら、誠人は問う。
「その敬語!同じ1年生なのに敬語はおかしいよ」
「そ、そんなこと突然言われましても…」
困惑気味な誠人を見ていると、ちょっと可笑しくて笑みがこぼれる。
こんな顔していてたら、誰も極道なんて分からないと思う。
「駄目。お嬢とか呼んでも返事しない」
だいたい、そんな風に呼んでたら、いかにもって感じじゃない。
式も終え、会場の外に出るとサークルの勧誘が始まっていた。
バイトもしたいから、サークルに入ろうか迷っている。
それに、私が入ったら誠人も一緒だろうし…。
ひとりで悶々と考えていたら、男の人が近寄ってきた。
「ねぇ君、新入生でしょ?うちのサークルとか入らない?」
その男の人が手に持っていた看板は『温泉サークル』
「おい、お前。お、七海さんは入るつもりはない。他をあたれ」
後ろからどす黒い声がした。
『お』で止めてさん付けで呼んだから、合格かな。
「ははっはい」
男の人は青い顔して、どこかへ行ってしまった。
「…ちょっと、誠人。素人相手になんてことするの!」
「っ!!はい、気をつけます」
ほんとかなぁ?
上目遣いでしばらく、誠人を見ていると――あるサークルが目に入った。
すぐに、そのサークルに向かった。
「すみません、サークルに入りたいんですけど…」
受付っぽいところにいた女性に声をかけた。
「ほんと!?きゃあぁーー嬉しいっ!」
大人しそうな見た目と逆に明るい人だった。
「『楽しくなんでもしよう!』が目的の『エンジョイ・プレイ・サークル』へようこそ!」
こうして、私は新たな道を歩み始めた。
もちろん――誠人も後から入ったけど…。