余命1年あまりと言われた美弥は、もうほとんど寝てすごしている。
起きあがることもままらないくらい身体は痩せ弱っている。
俺が病室に入っても、美弥は珍しくおきていた。
「美弥」
声をかけると美弥は頷いて微笑んだ。
俺は椅子に腰掛け、美弥の手をとり握った。
「もうすぐセンター試験が始まるんだ。だから、ここにしばらく来れなくなるけど、終わったら絶対くるから」
美弥は相変わらず微笑んだままだった。
でも俺にはちゃんと分かってた。
美弥が『大丈夫、試験がんばって』って言ってくれたってことを。
――――それが美弥と最後に会った日のことだった。
俺はセンター試験が終わった日、夕方になっていたがすぐに美弥に会いに行った。
病室のドアを開けると――――誰もいなかった。
キレイに畳んでいるベッドだけ。
――美弥がいない。
俺は病室を出てすぐ近くにいた看護士をつかまた。
偶然にも美弥の担当の看護士だったんで俺とも面識はあった。
「美弥はどうして病室にいないんですか!?」
「誠人くん…あのね、美弥ちゃん…一昨日に容態が急変して…昨日亡くなったわ」
その言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
「み、やが?亡く、なった?」
嘘だろ……。
信じたくない……。
「誠人くん!!」
俺は走った。
何も考えたくないから走った。
美弥…。
美弥……。
着いたのは霊安室。
扉を開けた。
そこには白い布に覆われていた人が横たわっていた。
俺の心臓がドクドクとうるさい。
そっと顔を覆っていた白い布をそっと取った。
―――――あぁ、これは夢だ。
だって俺が見た顔は、美弥だったのだ。
美弥があんなに頑張って生きようとしていたのに俺がいない間に簡単に死ぬはずがない。
――悪い夢だ。
そう思いこもうとしても涙が止まらない。
「うぁああああぁあぁあああ!」
美弥は俺を残して死んでしまった。